全国的に介護人材の不足が深刻化する中、山都町では少子高齢化および過疎化の進行が著しく、介護人材の確保がより困難な状況にあります。
町内の介護事業所では職員の高齢化が進むとともに、生産年齢人口の流出も続いており、介護人材の安定的な確保は喫緊の課題となっています。
要介護者とその家族が住み慣れた地域で安心して暮らし続けるためには、地域内の介護事業所が安定的に事業運営を継続できる体制を整えることが不可欠であり、そのためには人材確保が困難な状況下においても、業務負担の軽減や生産性向上の取組を進める必要があります。
ケアプランデータ連携システムは、ケアマネジャーとサービス提供事業者間のケアプラン情報のやり取りをオンライン化することで業務効率化や事務負担の軽減が期待されるものです。一方、町内には小規模事業所が多く、システム導入や運用を単独で進めることはマンパワーや費用面で課題があることから、地域全体での活用促進を図る取組が求められています。
そこで、介護職員の負担軽減を図り、限られた人材で質の高いサービスを継続して提供できる体制を構築する取組の一環として、令和7年度ケアプランデータ連携システム活用促進モデル地域づくり事業を実施しましたので、その結果を次のとおり報告します。
なお、本取り組みは隣接する御船町と合同により実施しました。
本事業の内容
(1)事業説明会(山都町・御船町の合同開催・9/11同様の内容を御船町でも開催)
開催日時:令和7年9月12日 10:00~12:00
開催場所:矢部保健福祉センター千寿苑 多目的ホール
参加者数:39名(事業所数34)
参加対象:山都町と御船町の介護事業所
実施内容:
①ケアプランデータ連携システムの概要について講演
②ケアプランデータ連携システムのデモ体験会
(2)介護事業所への導入活用支援
ア)ケアプランデータ連携システム実践研修会(全4回)
スムーズに導入・活用に繋げてもらうために、全4回のオンライン実践研修会を開催
【第1回】
・開催日:令和7年10月16日
・内容:ケアプランデータ連携システムの利用開始に必要なPC環境の確認、電子証明書の準備・設定、およびソフトのインストール手順を詳細に解説
【第2回】
・開催日:令和7年11月14日
・内容:ケアプランデータ連携システムの利用開始に必要なPC環境の確認、電子証明書の準備・設定、およびソフトのインストール手順を詳細に解説
【第3回】
・開催日:令和7年12月15日
・内容:ケアプランデータ連携システム導入後の実務編として、送受信用フォルダの作成からCSV・PDFデータの送受信手順、および運用時の注意・工夫点を具体的に解説
【第4回】
・開催日:令和8年1月16日
・内容:第3回までの振り返りと、ケアプランデータ連携システムに関する最新動向の共有、運用における困りごとへの相談対応
イ)問い合わせ・相談窓口の設置(コールセンターの設置)
・対応件数:計47件
・相談内容
▷ 連携システムの導入方法
▷ 連携システムの送受信エラー
▷ 介護ソフトへのCSVファイルの取り込みエラー、など
町からの補助の実施(山都町独自取り組み)
ケアプランデータ連携システムの導入に必要となる介護ソフトの改修や情報端末の整備等に要する費用について、1事業所あたり30万円(情報端末1台あたりの補助上限額は10万円)を上限として補助を実施しました。
【補助実績】 4法人 8事業所 1,241,000円
また、モデル事業所に対しては、効果測定や検証等への協力に伴い生じる時間的負担への対価として、1事業所当たり96,000円の協力金を支給しました。
ア)モデル事業所一覧
| 法人・事業所名 | サービス種別 |
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| 社会福祉法人蘇南会 矢部大矢荘 居宅介護支援事業所 | 居宅介護支援事業所 |
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| 社会福祉法人山都町社会福祉協議会 ケアセンターやまと | 居宅介護支援事業所 |
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| 株式会社UNITEON 訪問看護ステーションSUMUTOCODE | 訪問看護 |
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イ)支援内容
・ケアプランデータ連携システムの導入・活用支援
・効果検証のための計測(タイムスタディ、アンケートなど)
ウ)効果検証
別紙、「モデル事業所実践報告書」を参照
事業の結果
導入数・導入率の変化
事業開始当初(令和7年8月)は0%(0事業所)にとどまっていたシステム導入率は、研修会や個別支援を重ねることで、令和8年2月時点では77%(30事業所)にまで向上しました。加えて、導入予定の事業所を含めると37事業所、全体の95%が導入・導入準備段階にあり、町内におけるシステム普及が着実に進展しました。
•令和7年8月時点(本事業開始時点)
導入済み事業所:0事業所(0%)
導入未定事業所:39事業所(100%)
•令和8年2月時点(本事業終了時点)
導入済み事業所:30事業所(77%)
導入予定事業所:7事業所(18%)
導入済み+導入予定事業所:37事業所(95%)
導入未定事業所:2事業所(5%)
モデル事業所における業務時間の短縮
モデル事業所(3事業所)の実証結果において、提供票・実績票のやり取りにかかる業務時間が導入前と比較して約43%〜59%削減され、一定の業務効率化が図られたことが確認されました。特に遠方への訪問や書類持参の負担が軽減された効果が大きいものと見込まれます。
職員の意識変容と実務上の負担軽減
実運用を通じて「実績入力の手間の解消」や「紙の印刷コスト削減」、「移動負担の軽減」といった具体的なメリットが認識され、これにより、当初の操作に対する不安感が解消されました。
地域実情に即した連携体制の構築
本事業を通じて、モデル事業所を中心に「地域全体で取り組むことの重要性」が共有され、互いに声を掛け合いながら導入を進める動きが見られました。また、委託居宅介護支援事業所とサービス事業所間における独自の連携ルール(PDF活用など)も整理され、実情に即した運用体制が構築されました。