1.崩落した石材の元の位置の特定について
これまで崩落した石材の回収後、壁石垣の積み直しに向けて、元の位置の特定を進めてきました。
石垣の復旧にあたっては、元の石材を使用する必要があるため、完全に元の位置を復元しなければ積み直しができません。建造当時は、現場において石材を加工、微調整しながら、きっちりと組み合わされた精巧な石積みが作られましたが、今回の修理では、石材を再加工することはできませんので、石の上下、左右の噛み合わせまで復元した上で積み直す作業が求められ、建造時よりもはるかに難しいことが想定されます。
こうした積み直し作業に向けた基礎資料として位置の特定を進めたところ、これまで94石中、93石の特定が完了しました。特定に至っていない1石は、数個に割れている、もしくは土中に埋まっている可能性等があると推測されます。また、復元した石材の位置状況をもとに、崩落状況や大きさ(控えの長さ)などの確認も進め、崩落前の石垣の実態を確認しました。今後は、残り1石の特定とともに、崩落により損傷した石材の補修等の検討を実施します。
[資料1]
石材の位置特定シュミレーション
(PDF:716.2キロバイト)
[資料2]
石材調査の結果
(PDF:5.71メガバイト)
[資料3]
これまでの経過
(PDF:267.2キロバイト)
2.復旧スケジュール(工程計画)
今後の修理方針や工程計画、範囲等については、平成30年11月15日に開催した通潤橋保存活用検討委員会での合意を経て、12月上旬に文化庁の補助事業申請を行い、受理されれば平成31年2月に交付決定となる予定です。
工事は、今年度内に発注や契約等を行い、来春4月にも着手の見込みです。工事では、まず、足場等の仮設物の設置を行った後、石垣の内部状況を確認するための裏築(うらつき)仕様調査を実施する必要があります。この調査をもとに、最終的な工法等を決定したのち、石垣の積み直しや橋の周辺の雨水の排水対策等を実施する計画としています。現段階では、概ね1年間の工期を設定しています。
今後も一日も早い復旧に努めますので、ご理解のほどよろしくお願いいたします。
[資料4]
全体工程計画
(PDF:169.3キロバイト)