(写真は、元営林署裏の石風呂)
清和大川の石風呂は、国道218号線沿線の道下にあります。矢部地区の石風呂は、溶結凝灰岩の石壁をくりぬいたものですが、ここの石風呂は石壁ではなく、まるでかまくらのように石の塊を
くりぬいたような形をしています。
高さは見た目1.5mも無さそうですが、埋まっている部分まで含めると1.8mくらいあるのではないかと推定します。しばらく見ないうちに荒れ果てていました。
平安時代に平家の焼き討ちにあった東大寺の再建を、僧・俊乗坊重源が命じられ行いました。重源は金を水銀に溶かしたアマルガムという方法で奈良の大仏の塗金を行いました。この時に、水銀を吸い込んだ作業員らが今で言う水俣病に似た症状を患い、当時はこれを奈良病(ならやまい)と称したそうです。
その奈良病を治療するのに、石風呂が効果があったようです。石風呂は、石室に小石を敷き詰め、小枝を燃やして石を焼き、火をかき出した後、濡れたムシロを敷いて蒸気を出します。さらにその上に、ヨモギや菖蒲などの薬草を入れ、奈良病の病人だけではなく、民衆の身体の代謝を高めたと言います。
当時の周防国現在の山口県は、上述の奈良の東大寺大仏殿建立のための木材供給地でした。そのため、現在でも石風呂が残っていて山口市徳地ではそれを「平安の石風呂」として活用しています。
我が山都町でも、現に町内各地に石風呂という文化財があるので、それを観光に活かしたいところですが、なにせ町の文化財に指定されたり、あるいは場所(島木水増や、元営林署跡の近くにも石風呂はあります)が適当でないので、通潤山荘に石風呂を新たに作り、「平安の石風呂」として売り出したら面白いのではないかと思います。
2021年09月06日更新