① 浜町の「ハマ」の地名の由来について

 次に矢部地区の中心・「浜町」の「浜」についてです。「浜町」と呼ばれるようになったのは、江戸初期のことで、それ以前は「浜」でした。

   「ハマ」は,阿蘇地方では広々とした水田の意で,山間地のやや広い平坦盆地を表す説と,当地には湧水が多く,低湿地の盆地であるため降雨の多い時は水田が湖水のようになるため,水の縁語で浜と称した説があります。阿蘇の大観望から,田植え前の阿蘇谷を眺めると,まるで潮が引いた後の浜辺のように田がきらきらと光を反射します。  

 

② 浜の館と浜

 阿蘇氏は,阿蘇黒川の西にある贄塚(二辺塚)に城郭を築いて浜の城と称し,阿蘇氏が矢部に進駐し,居館を設けて「浜の館・浜の御殿・浜の御所」などと称したと伝え,「浜」は政治・経済の中心地として栄えました。 

 

  浜町の地形

 「浜町」は北側には片平台地,南側には下市染野台地に挟まれています。そのため,約300年前に新町の町造りを行った際も雨期には道路が泥道となるありさまで,松丸太を打ち込んだり,砂土を入れたりして道がためをしたと古文書に記録があります。

 今でも、片平台地や染野台地の法尻からは到るところから水が湧き出ています。

2021年09月05日更新