山都町には、「延寿桜」と云う謡曲本が町の重要文化財に指定されています。これは、文化14年(1817)藩主細川斉茲公が矢部巡視の際に、原村の有志である原住圭七の家で休息された時に、付近に咲いていた桜を自ら採り「投入」されました。

 後で圭七が、その桜を庭に挿木したところ活着して成長し、6年後の文政5年(1822)春、斉茲公が再び矢部巡視の折に立ち寄られた時に見事に咲いていました。圭七が、斉茲公にこの由を申し上げたところ、斉茲公は大変よろこばれてこの桜を「延寿桜」と名付けられました。謡曲「延寿桜」は、この出来事をもとに作られた謡曲本です。

 平成4年2月1日、熊本県立劇場演劇ホールにて行われたオールナイト公演『完全復元 阿蘇・長陽長野神楽三十三座 熊本の「動」と「靜」を観る』で、矢部の有志によってこの「延寿桜」が公演されました。しかしその後、後継者が居なく途絶えています。

 山都町郷土史伝承会では、この途絶えた能楽を再び復活させたく、毎月1回喜多流の能楽師の先生を招いて図書館ホールで能楽教室を開催しています。興味があられる方はぜひご参加下さい。

 次回は5月18日(土曜日)午後2時から午後4時まで山都町立図書館ホールで開催します。どなたでも参加できます。
2019年05月13日更新