72788896_69s72788896_123s   さて、次は神社の中心部です。奥の方から手前に、本殿(神殿)、幣殿、拝殿と続きます。本殿(神殿)は、神霊を宿した神体を安置する社殿のことです。

 ここ小一領神社の御祭神は、健磐龍命(たていわたつのみこと)、阿蘇都媛命(あそつひめ)、国造速瓶玉命(くにのみやつこはやみかたまのみこと)です。健磐龍命は、神武天皇の皇孫で、阿蘇都媛命はその妃神です。そして国造速瓶玉命は健磐龍命と阿蘇都媛命との間の第1子で初代阿蘇国造に任じられた方です。国造神社の御祭神としても有名です。本殿は、神主でも普段出入りしないところですから、これら神々のご神体として本殿に何がお祭りしてあるかは私も知りません。

 神社の造りはいろいろな様式がありますが、小一領神社は「八幡造」だと言われています。2つの建物前殿(まえどの)・後殿(うしろどの)を前後に連結させ、中間に1間の相の間(あいのま)が付く形式です。前殿が拝殿で、後殿で本殿、そして相の間が幣殿に相当します。この本殿は、安永9年(1780)に建築されたものです。そのときの様子を、当時の小一領神社の神主男成守寿は、「郷党歴代拾穂記」の中で次のように記しています。

「同年(安永9年)庚子8月22日晩小一領神社社殿成就に依り今晩御還宮、今日未時より雨催しあるに依て、還宮刻限は亥子間なれとも取急き夜九ツ時分に仕廻になる、其内雨ハラハラと降出す、見物人一里四方より来る、委く其規式小一領神社作式記に述る。」

 還宮とは、本殿が従前とは異なる境内に新築移転したり、同じ境内で別の位置に新築移転したりする際のほか、本殿の修理や新築の際に一時的に神体を移動することです。新しい社殿が完成し、ご神体を新しい社殿に移す日に雨が降り出したようですね。見物人も集まった様子が記されています。
2015年04月10日更新