○山都町職員の分限処分の基準に関する指針

平成31年4月19日

訓令第5号

(目的)

第1条 この指針は、地方公務員法(昭和25年法律第261号。以下「法」という。)第28条の規定に基づく降任、免職、休職等の措置の取扱いに関し、山都町職員の分限の手続及び効果に関する条例(平成17年山都町条例第30号。以下「条例」という。)に定めるもののほか、一定の事由により職責を十分に果たすことができない職員に対して厳正、かつ、適切に対応することにより、公務の適正、かつ、能率的な運営を確保することを目的とする。

(分限処分の対象職員)

第2条 法第28条の規定に基づき、分限処分の対象となる職員は、次の各号のいずれかの場合に該当する職員とする。

(1) 勤務実績不良な場合

(2) 心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えられない場合

(3) 当該職に必要な適格性を欠く場合

(4) 第10条第1項の規定に基づく受診命令に違反した場合

(5) 行方不明の場合

(勤務実績の不良等)

第3条 前条第1号に該当する職員は、次の各号に掲げる職員とする。

(1) 無断欠勤、無断離席等を繰り返す職員

(2) 業務の処理を繰り返し怠る職員

(3) 初歩的な業務上のミスを繰り返す職員

(4) 業務上の重大な過失を犯した職員

(5) 職務命令に違反し、又は従わない職員

(6) 職場での暴力、暴言又は誹謗中傷を繰り返す職員

(7) 住民等と頻繁にトラブルを起こし、その責めが自己であると認められる職員

(8) 受診命令、療養への専念の指導等に従わない職員

(9) 前各号に掲げるもののほか、勤務成績の不良又は当該職に必要な適格性を欠くと任命権者が認める職員

2 前条各号のいずれかに該当する職員において、対応措置が必要となる事項は、別表第1に定める事項とする。

(所属長による対応措置)

第4条 所属長は、当該職員が第2条第1号又は第3号に該当するときは、人事評価その他分限事由に該当する具体的な事例及び客観的な事実に基づき、当該職員に対し、注意、助言及び指導を行うほか、必要に応じ、担当業務の見直し、研修の受講、職場における支援体制の構築その他の改善を図るための対応措置を講じなければならない。

2 所属長は、前項の規定により、注意、助言、指導その他の対応措置を講じたときは、その内容及び対応措置を講ずる前後の当該職員の状況について、行動観察記録・対応状況記録票(様式第1号)(以下「記録票」という。)に記録するとともに、当該職員の勤務実績不良の状況又は問題行動を示す資料(以下「資料等」という。)があるときは、当該資料の収集を行うものとする。

3 所属長は、前項の規定により、記録した記録票及び資料等を総務課長に提出し、当該職員の状況を報告しなければならない。

(分限処分の告知)

第5条 総務課長は、前条第3項の規定による報告があったときは、当該職員と面談を行い、勤務実績不良又は適格性欠如の内容について事実確認を行うものとする。

2 総務課長は、前項の面談の他、必要に応じて当該所属長、当該所属の職員等から聴き取りを行い、事実確認を行うものとする。

3 総務課長は、前2項に規定する事実確認の結果、勤務実績不良又は適格性欠如に該当すると認められる場合は、当該職員に対して、警告書(様式第2号)を交付し、法第28条第1項、第2項及び法第29条第1項の規定に基づく分限処分又は懲戒処分がなされる可能性がある旨を告知するものとする。

4 前項の規定による警告書を受けた職員は、交付の日から7日以内に文書により弁明を行うことができる。

(警告書交付後の観察及び指導)

第6条 所属長及び総務課長は、警告書の交付後において、当該職員の状況が改善されているかどうか、継続して観察及び指導を行うものとする。

2 所属長は、警告書の交付後における当該職員の状況について、継続して記録票に記録しなければならない。

(分限処分の検討)

第7条 任命権者は、第4条から前条までに規定する対応措置を講じたにもかかわらず、警告書の交付から6月が経過しても当該職員の改善が見られないと判断される場合は、山都町職員懲戒等審査委員会(山都町職員の懲戒処分の基準に関する指針(平成26年山都町訓令第10号)第5 審査委員会第1項に規定する山都町職員懲戒等審査委員会をいう。以下「審査委員会」という。)に対し、当該職員の分限処分について諮問するものとする。

(所属長の対応措置)

第8条 所属長は、当該職員が第2条第2号に該当すると認められるときは、その者の心身の故障の状況等を把握し、記録票により、遅滞なく総務課長に報告しなければならない。

2 第2条第2号に該当する職員は、次の各号に掲げる職員とし、その留意すべき事項は別表第2に掲げるとおりとする。

(1) 3年間の休職期間を経ても、病状が回復せず、以後の職務遂行に堪えられない職員

(2) 療養休暇又は療養休職を繰り返し、直近5年間におけるこれらの期間の累計が3年を超え、以後も同様の状態が継続し、職務の遂行に支障があると見込まれる職員

(3) 病気休職中であって、以後の職務の遂行が可能となる見込がないと認められる職員

(4) 第3条第1項各号に掲げる行為が、心身の故障によるものと思われる職員

(総務課長の対応)

第9条 総務課長は、前条の規定による報告があったときは、必要に応じて、当該職員、その家族と面談等を行い、又は主治医等に連絡し、状況の把握に努めなければならない。

(受診命令等)

第10条 任命権者は、当該職員が次の各号のいずれかに該当する場合は、法第28条第1項第2号に該当するか否かを確認するため、受診命令書(様式第3号)により、任命権者が指定する医師(以下「指定医」という。)2人に受診することを職務命令として命ずるものとする。

(1) 前条の規定により総務課長が状況を把握した結果、法第28条第1項第2号に該当する可能性が高いと認められるとき。

(2) 勤務成績不良又は適格性欠如の例に該当する場合で、その問題行動が心身の故障に起因すると思われるため、総務課長が再三にわたり医師の受診を勧めたにもかかわらず、これに従わないとき。

2 任命権者は、前項の規定により受診命令を受けた職員が正当な理由がないにもかかわらず、これに従わない場合は、法第28条第1項第3号に該当するものとして、審査委員会に対し、当該職員の分限処分について諮問するものとする。

(診断結果に基づく措置等)

第11条 任命権者は、当該職員が前条第1項の規定に基づき受診した結果、任命権者が指定医2人から次の各号に掲げる診断とされたときは、免職処分とする。

(1) 更に療養又は休養を要する場合

(2) 療養又は休養によっても治癒し難い心身の故障がある場合

2 第8条第2項第1号又は第2号に該当する職員が、前条の規定による受診の結果、指定医2人から前項各号に掲げる診断をされず、職務に復職した後1年以内に病気療養が必要となったときは、原則として免職処分とする。ただし、当該療養休暇又は病気休職の原因となった心身の内容と明らかに異なる要因によって病気療養が必要となった場合は、この限りでない。

3 第8条第2項第2号に該当する職員が、前条の規定による受診の結果、指定医2人から第1項第2号に掲げる診断をされたときは、免職処分とする。

4 第8条第2項第4号に該当する職員が、前条の規定による受診の結果、指定医2人から心身の故障があり、療養に専念する必要があると診断されたときは、任命権者は、当該職員に対し療養に専念する旨を命じるものとする。

5 第8条第2項第4号に該当する職員が、前条の規定による受診の結果、指定医2人から心身の故障があり、療養に専念する必要があると診断されなかったときは、総務課長は、所属長及び当該職員から事情を聴取した後に、所属長に対し引き続き当該職員の状況について、記録票に記録するよう指示するものとする。

(受診命令に従わない場合の措置)

第12条 第8条第2項第1号から第3号までに該当する職員が、正当な理由なく第10条に規定する受診命令に従わないときは、免職処分とする。

2 第8条第2項第4号に該当する職員が、正当な理由なく第10条に規定する受診命令に従わないときは、総務課長は、所属長に対し当該職員の状況について、記録票に記録するよう指示するものとする。

(行方不明の職員への対応)

第13条 職員が1月以上にわたり行方不明であるときは、原則として免職処分とする。

(その他)

第14条 この訓令に定めるもののほか、分限処分に関し必要な事項は、別に定める。

この訓令は、公示の日から施行する。

別表第1(第3条関係)

分限処分の事由に該当し、対応措置が必要となる事項

勤務実績不良

初歩的な業務上のミスを繰り返し、業務の成果物又は処理数が職員の一般的な水準と比べて著しく劣る。

所定の業務の処理を行わず、又は上司への報告、相談等を怠る等独断で業務を行う。

担当業務を処理することができず、常に上司その他の職員からの支援を必要とする。

正当な理由がないのに業務の処理に係る期限を守らず、又はその業務を行わない。

遅刻又は欠勤を繰り返し、出勤状況が悪い(事前に所属長に連絡がある場合を含む。)

勤務時間中に長時間、無断で頻繁に自席を離れ、又は業務に関係しない電話若しくは電子メール・インターネットに興じる等職務に専念しない。

人事評価において、連続してC又はDランクの評価をされる等改善の努力が見られない。

療養休暇や年次休暇が不承認となっているにもかかわらず、病気等を理由に出勤しない。

担当業務のうち、自分の好む業務のみを行い、正当な理由がないのに、他の命ぜられた業務を処理しない。

心身の故障

3年間の病気休暇(復職後90日以内に再び同様の疾病のため病気休暇となった場合を含む。)の期間が満了するにもかかわらず、疾病が回復せず、今後も職務の遂行に支障がある。

病気休職中であるが、心肺機能停止後こん睡状態や脳死状態である等今後回復して就労が可能となる見込がない。

5年にわたり病気休暇と病気休職を繰り返し、それらの累計が3年を超えても、病状が回復せず、職務の遂行に支障がある。

適格性欠如

職務命令に違反したり、正当な理由がないのに職務命令を拒否したりする。

上司その他の職員に対する暴力、暴言、誹謗又は中傷を行う。

上司その他の職員又は住民への対応において、揉め事を繰り返す。

他者との揉め事により、当該職員本人の業務の停滞だけでなく、他の職員の業務の遂行にも悪影響を及ぼしている。

粗暴な言動により、他者と揉め事を繰り返す。

公務員として必要な適格性、品位及び社会的信頼に対し、疑問を抱かせるような問題行動を繰り返す。

上司からの指導に対し、反抗的な態度を示し、反省又は改善の行動が見受けられず、同じようなことを繰り返す。

懲戒処分を受けた者が、その後3年以内に非違行為(交通法違反、管理監督責任及び軽過失によるものを除く。)を行った。

受診命令違反

心身の故障のため職務の遂行に支障等がある場合又は勤務実績不良若しくは適格性欠如に該当する者で、その問題行動が心身の故障に起因するものと思われる場合であって、任命権者が指定した医師への受診命令に従わない。

行方不明

水難、火災その他の災害によるもののほか、当該職員と連絡が取れず、1箇月以上にわたり行方不明である。

別表第2(第8条関係)

心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えられない場合の留意すべき事項

治癒し難い心身の故障があるとの診断がなされなかった場合の対応

第10条により指定医のうち、少なくとも1人が同項に規定する診断をしなかった場合には、法第28条第1項第2号に該当すると判断することはできず、職員本人及び主治医、産業医等と相談した上で、円滑な職場復帰を図っていくなどの対応を行う必要がある。

医師による適切な診断を求める努力

職員の心身の故障の回復の可能性及び職務遂行の可否を判断するための医師の専門的診断は、職場の実態や職員の職場における実情等に基づく必要がある。そのため、診断する医師にその実情を十分に伝え、適切な診断を求めて行くことが必要である。

病気休職期間からの準備満了前

3年間の病気休職の期間が満了する場合には、その期間満了前から、当該職員や主治医と緊密に連絡を取って病状の把握に努め、第10条に規定する指定医診断を求める必要があるかどうか検討しておく。

療養休暇又は病気休職の累計が3年を超える場合の対応

第8条第2項に該当する場合(療養休暇又は病気休職を繰り返してそれらの期間の累計が3年を超え、そのような状態が今後も継続して、職務の遂行に支障があると見込まれる場合)には、第10条の指定医の診断を求めることとなるが、当該療養休暇や病気休職の原因である心身の故障の内容が明らかに異なるときには、これには該当しないものとして取り扱う。

受診命令違反の場合

第10条の受診命令に従わない場合に行われる分限免職は、法第28条第1項第3号に基づく処分であるから、職員が正当な理由なく受診命令を拒否したことのほか、

①当該職員が有していると思われる疾患又は心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えない状況にあると認められること。

②受診命令拒否その他の行動、態度等から、当該職員が当該職に必要な適格性を欠くと認められること。

上記①及び②を記録票により確認して行うものとする。

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山都町職員の分限処分の基準に関する指針

平成31年4月19日 訓令第5号

(平成31年4月19日施行)