『この世の喜びよ』 著:井戸川 射子 娘たちが幼い頃、よく一緒に過ごした近所のショッピングセンター。 その喪服売り場で働く「あなた」は、 フードコートの常連の少女と知り合う。 言葉にならない感情を呼びさましていく芥川賞受賞作 「この世の喜びよ」をはじめとした作品集。
ほかに、ハウスメーカーの建売住宅にひとり体験宿泊する 主婦を描く「マイホーム」、 父子連れのキャンプに叔父と参加した少年が 主人公の「キャンプ」を収録。 | 『荒地の家族』 著:佐藤 厚志 あの災厄から十年余り、男はその地を彷徨いつづけた。 元の生活に戻りたいと人が言う時の「元」とはいつの時点か――。 40歳の植木職人・坂井祐治は、災厄の二年後に妻を病気で喪い、 仕事道具もさらわれ苦しい日々を過ごす。 地元の友人も、くすぶった境遇には変わりない。 誰もが何かを失い、元の生活には決して戻らない。 仙台在住の書店員作家が描く、 被災地に生きる人々の止むことのない渇きと痛み。 |