移住者インタビュー16 田崎 正光さん(69歳) ひとみさん(67歳)
移住する前はどんな暮らしをしていましたか?現在はどんな暮らしをしていますか?
(正光さん)
国際協力機構JICAの農業専門家としてバングラデシュ、ブラジルに赴任し10年余りを過ごした後、横浜にある種苗会社に勤務しました。その会社では海外事業担当としてブラジル、南アフリカ、フランスなどで長期にわたり海外の現地法人の経営管理をして来ました。退職後はゆっくり自分の思うがままの生活をしたいとの思いから、国内移住の適地を探し、ここ山都町に行き当たったという次第です。
現在は隣接する農園にて作物の栽培をし、外国での実務経験を踏まえて試験的な作物にも取り組みたいと考えているところです。また、ガーデニングにも意欲的に取り組み、地域の方に喜んでいただけるようなものにしたいと奮闘中です。移住してからずっと庭作りは続いていて完成までにはまだまだで、地域の方から「まだ植ゆるっとな?(まだ植えるの?)」と言われています(笑)。
農作業がない日は近くのゴルフコースでボールをたたいています。
(ひとみさん)
コスタリカに青年海外協力隊隊員として派遣された後に(正光さん)と結婚し、バングラデシュ、ブラジルで出産、子育てを経験しました。日本に戻ってからその経験を生かし、海外から移住してきた家族に対して、学校や日本社会への適応を手助けするためのボランティアグループを結成し、活動を始めました。日本では言語や文化が母国とは大きく違っているために、社会制度や学校システムに戸惑っているケースが多く見受けられたからです。活動の主体は日本語教育や子どもの学習補助、通訳(スペイン語・ポルトガル語)といった分野でした。
現在は緑や農のある暮らしを楽しみながら、趣味のトレッキングをしたり、地域のフットパスに参加したりしています。
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田崎さんの一日のスケジュール |
古民家を改修した自宅。風がよく通り自然を感じられるテラス、光が多く入る縁側、大きな柱や梁をそのまま使い、古いながらにモダンな書斎が作られている。
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精米倉庫を改修したおしゃれな書斎 | テラスにてインタビューに答える田崎さんご夫婦 |
山都町に移住した経緯を教えて下さい。
(正光さん)
定年後には地方への移住を考え、ふるさと回帰支援センターなどで移住先を探していました。九州であれば暑くないところ、ロケーションが良い場所を条件に探しました。大分県の九重町などで多くの空き家を見て回りましたがなかなか気に入った物件がありませんでした。最終的には知人の紹介で現在住んでいる古民家を見て、改修後のイメージがピッタリする物件だったこと、蘇陽地域の気候やロケーションが気にいったこともあって、現在の家を町の補助金も利用して改築しました。
山都町で暮らす魅力はなんだと思いますか?
(正光さん)
今住んでいる蘇陽地域の菅尾は標高600メートルなので夏涼しくて、冬でも長期間雪に閉ざされず、四季のメリハリがあって自分たちにはちょうどいい気候です。また、隣との距離が近くなく、家や施設と家の間に林や川などがあって、空間が広いですね。家の敷地や近隣や自然の中で何かやろうと思えば自由度が高いところも自分達にとっては魅力の一つです。
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(正光さん)
地域の農道などの草刈や集落での話し合いやお祭りに参加しています。また、地域の方と家の近くに無料で開放した菖蒲園を作り、楽しんでいます。現在はちょっと有名になり、町内外から菖蒲園を見に来る人が増えています。観光バスで訪れる方もいます。自分の専門的な経験を活かし、菖蒲がいかに綺麗に、大きな花が長く咲くかを心がけて管理しています。
(ひとみさん)
地域で祀られている神様由来のお祭りに参加し、地域の奥様方と料理を作ったりしています。菖蒲園の管理も手伝っていますよ。
地域の方と協力して植えている菖蒲園。最盛期には1万本の花が咲いています。(正光さん)に綺麗な花を長く咲かせるコツについて教えていただきました。
これからの目標、夢は?
(正光さん)
渓流釣りに挑戦したいです。道具はもうバッチリ揃っているので、あとは師匠を見つけるだけ(笑)。また、自分が仕事で培ってきた経験を地域の農業や植物の栽培などに役立てていきたいです。例えば地域の特産物となる自然薯の安定化技術を検討したり、高齢化した農家の営農支援になると思われる新しい作目の導入試験も始めたいと思っています。
(ひとみさん)
山都町にはすばらしい自然や風土があります。このすばらしい財産をもっと活用して、地域の発展につながる活動のお手伝いが出来たらいいなと思っています。また、海外での生活や子育ての経験を伝えたり、活かしたりできる場があれば喜んで参加したいと思っています。