○国宝「通潤橋」条例
令和4年3月10日
条例第9号
目次
第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 通潤橋の保存、管理及び公開(第3条―第14条)
第3章 国宝「通潤橋」保存活用基金(第15条―第18条)
第4章 雑則(第19条)
第5章 罰則(第20条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、令和5年6月23日、国の文化審議会において、通潤橋は技術的完成度の極めて高い近世石橋の傑作であり、近世水利土木施設の到達形態の一つを示すとともに、江戸末期に九州で興隆した石橋文化を象徴する土木建造物であり深い文化史的意義が認められるとして国宝に指定するよう答申がなされ、同年9月25日、文化財保護法(昭和25年法律第214号。以下「法」という。)第27条第2項の規定により、通潤橋が国宝に指定されたことに伴い、通潤橋が長い歴史の中で今日まで大切に守り継がれてきた地域社会の営みを象徴する存在であり、たぐいない国民の宝であることを認識し、通潤橋を公共のために大切に保存するとともに、広く公開することにより文化的活用を図ることを目的とする。
(1) 通潤用水と白糸台地の棚田景観 法第134条第1項の規定により平成20年7月28日に選定された本町の重要文化的景観をいう。
(2) 通潤橋保存活用計画区域 平成27年5月19日付けで文化庁の確認を受けた重要文化財(建造物)通潤橋保存活用計画において示す区域(別図1において示す区域)をいう。
(3) 通潤橋西側水田区域 通潤橋保存活用計画区域の西側に隣接して所在する水田及びこれらに隣接する遊歩道等の施設を含む区域(別図2において示す区域)をいう。
(4) 公開 法第47条の2第1項の規定による重要文化財の公開をいう。
(5) 観覧 町が通潤橋の橋上部における公開を行うことに伴い、見学者等が橋上部において観覧することをいう。
(6) 観覧料 法第47条の2第3項の規定により徴収する観覧料をいう。
第2章 通潤橋の保存、管理及び公開
(町の責務)
第3条 町は、通潤橋が通潤用水と白糸台地の棚田景観と相まって、豊かな歴史や文化、地域資源を守り伝えていくことの大切さを正しく理解するために欠くことのできないものであり、かつ、将来の文化の向上発展の基礎をなすものであることを十分認識して、通潤橋の保存、管理及び公開について必要な措置を講ずるとともに、通潤橋を常に適正かつ良好な状態に管理しなければならない。
(行為の制限)
第4条 通潤橋保存活用計画区域又は通潤橋西側水田区域(第6条において「制限対象区域」という。)内において、次に掲げる行為をしようとする者は、町長の許可を受けなければならない。
(1) 物品の販売、募金その他これらに類する行為をすること。
(2) 業として映画又はテレビの撮影その他これらに類する行為をすること。
(3) 興行を行うこと。
(4) 競技会、展示会、集会その他これらに類する催しをすること。
(5) 物品の陳列又は展示をすること。
2 前項の許可を受けようとする者は、行為の目的、期間、場所、内容その他の事項を記載した申請書を町長に提出しなければならない。
3 第1項の許可を受けた者は、許可を受けた事項を変更しようとするときは、当該事項を記載した申請書を町長に提出して、その許可を受けなければならない。
(行為の禁止)
第5条 通潤橋保存活用計画区域内においては、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 区域内に設置された物を損傷し、又は汚損すること。
(2) 工作物を新築し、改築し、又は増築すること。
(3) 竹木を伐採し、又は植物を採取すること。
(4) 植樹等を行うこと。
(5) 土地の形質を変更すること。
(6) 鳥獣類を捕獲し、又は殺傷すること。
(7) 広告を掲げ、又は散布すること。
(8) 火気を使用すること。
(9) バーベキュー、キャンプその他これらに類する行為をすること。
(10) 土石、竹木等を堆積すること。
(11) ごみその他の汚物又は廃物を捨て、又は放置すること。
(12) 前各号に掲げるもののほか、区域内の良好な管理を損なうおそれのある行為をすること。
2 通潤橋保存活用計画区域、通潤橋西側水田区域その他町長が指定する区域(別図3において示す区域)内においては、無人航空機(航空法(昭和27年法律第231号)第2条第22項に規定する無人航空機(重量が100グラム未満のものを含む。)をいう。)を飛行させてはならない。ただし、町長は、当該飛行が文化財の調査その他の目的のために公益上特に必要があると認める場合に限り、必要な条件を付して許可を与えることができる。
(監督処分)
第6条 町長は、次の各号のいずれかに該当する者に対して、この条例の規定による許可を取り消し、その効力を停止し、若しくはその条件を変更し、又は行為の中止、原状回復若しくは制限対象区域からの退去を命ずることができる。
(1) この条例又はこの条例の規定に基づく処分に違反している者
(2) この条例の規定による許可に付した条件に違反している者
(3) 偽りその他不正の手段によりこの条例の規定による許可を受けた者
(通潤橋の公開)
第7条 町は、法第4条第2項の規定により、通潤橋の文化的活用に努めるため、見学者等に対して通潤橋を公開するものとする。
(通潤橋の橋上部における公開)
第8条 町は、人命の安全を確保する観点から、見学者等の行動が把握され、地震その他の災害時に避難等の適切な行動ができるよう安全に十分配慮しつつ、文化財的価値の活用と人的安全性の確保を図ることを目的として、通潤橋の橋上部における公開(以下「橋上部における公開」という。)を行うものとする。
(橋上部における公開の期間)
第9条 橋上部における公開を行う期間は、毎年度、町長が別に定める通潤橋保存活用検討委員会に諮って決定するものとする。
(橋上部における公開の中止)
第10条 町長は、次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、橋上部における公開を中止するものとする。
(1) 強風、強雨、積雪、濃霧等の荒天時その他危険が予想されるとき。
(2) 町又は安全巡視員において橋本体又は橋上部において異常を発見したとき。
(3) 前2号に掲げるもののほか、見学者等が安全に観覧することが困難であると町において判断したとき。
(観覧上の注意事項)
第11条 観覧しようとする者は、次の各号に掲げる事項に十分留意して、安全に観覧しなければならない。
(1) 橋上部の通行に当たっては、橋上部に設定された白線の上流側部分及び下流側部分に立ち入ることのないようできる限り橋上部の中央側を通行すること。
(2) 走ること、ふざけること、暴れること等の危険な行為をしないこと。
(3) 町が安全のために掲出した標示物の指示に従って観覧すること。
(4) 安全巡視員の指示に従って観覧すること。
(5) 周りの観覧者の動きに注意して観覧すること。
(6) 児童、生徒その他の団体にあっては、引率者等の管理又は監督の地位にある者の責任の下において、1列又は2列の隊列により整然と右側通行により観覧すること。
(7) 監護を必要とする子どもにあっては、当該監護者の監督の下において観覧すること。
(8) 観覧について介助を必要とする者には、介助する者が付き添って、誘導その他安全上適切な支援を行うこと。
(9) 酒気を帯び、又は疾病、疲労その他の理由により安全に観覧することができないおそれがないこと。
(10) 喫煙をし、又は火を使用する器具を携帯しないこと。
(11) 自らが停止している場合を除き、携帯電話用装置、カメラ等を使用しないこと。
(12) 三脚、一脚、脚立等を用いて写真等を撮影し、若しくは物を広げ、又は他の観覧者の観覧の妨げとなる行為をしないこと。
(13) ヘッドホン、イヤホンその他これに類する物品を装着して安全巡視員の指示その他周囲の音が十分聞こえないような状態で観覧しないこと。
(14) 傘を使用するときは、視野が妨げられ、風の影響を受け、又は他の観覧者に接触したりしないこと。
(15) 軽車両又は車両を乗り入れないこと。
(16) 前各号に掲げるもののほか、安全な観覧を確保するために必要な事項を遵守すること。
(観覧)
第12条 見学者等は、観覧しようとするときは、規則で定めるところにより、観覧の申込みをしなければならない。
3 見学者等は、第1項の規定により観覧を申し込むときは、同時に観覧料を納付しなければならない。
(観覧料)
第13条 観覧料の額は、次に掲げるとおりとする。
(1) 町の区域内に住所を有する者 1人につき100円
(2) 次に掲げる者(前号に掲げる者を除く。)
ア 高校生以上 1人につき500円
イ 小学生及び中学生 1人につき200円
2 小学校第4学年の社会科見学(小学校学習指導要領に定められた調査活動等を通して必要な情報を調べまとめる技能を身に付けることを目標として行われるものをいう。)における観覧料の額は、前項の規定にかかわらず、1人につき100円とする。
3 既納の観覧料は、第10条各号のいずれかに該当する場合において公開を中止したときに限り、納付した者の請求により還付することができる。
(観覧料の免除)
第14条 町長は、次に掲げる者の観覧料を免除することができる。
(1) 小学校就学の始期に達するまでの者
(2) 公用又は公益上特に必要があると町長が認める者
第3章 国宝「通潤橋」保存活用基金
(保管)
第16条 保存活用基金に属する現金は、金融機関への預金その他最も確実かつ有利な方法により保管しなければならない。
(運用収益の処理)
第17条 保存活用基金の運用により生ずる収益は、一般会計歳入歳出予算に計上して、保存活用基金の管理に要する経費に充てる場合のほか、保存活用基金に繰り入れるものとする。
(処分)
第18条 保存活用基金は、業務に必要な経費の財源に充てる場合に限り、その全部又は一部を処分することができる。
第4章 雑則
(委任)
第19条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
第5章 罰則
第20条 次の各号のいずれかに該当する者は、5万円以下の過料に処する。
(3) 第5条第2項本文の規定に違反して無人航空機を飛行させた者
附則
この条例は、令和4年4月1日から施行する。
附則(令和5年9月20日条例第16号)
この条例は、法第27条第2項の規定により文部科学大臣が通潤橋を国宝に指定した旨が法第28条第1項の規定により官報で告示された日から施行する。
別図1(第2条関係)
別図2(第2条関係)
別図3(第5条関係)