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通潤橋壁石垣の崩落について(4) 修理工事の見通し

最終更新日:
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    1.通潤橋の現況と今後のスケジュール

     平成30年5月7日(月曜日)に発生した通潤橋壁石垣の一部崩落に関しては、町民の皆様ならびに関係各位の方々には大変ご心配をおかけしてります。

  •  現在、崩落の拡大防止のための金網設置・モルタル吹付工事等の応急措置完了後、崩落石材を布田神社前まで引き上げ、各石材の計測作業を経て、原位置特定作業等と並行しながら、修理計画の立案作業を行っています。検討に際しては、通潤橋保存活用検討委員会 保存部会を中心として、文化財石垣保存技術協議会(文化庁が選定する「文化財石垣」の保存技術を有すると認定された団体)の技能会員、石橋を専門とする技能者の方々にもご協力をいただいています。

  •  先日お伝えした通り、今回の保存修理工事は大雨による災害復旧事業として文化庁の補助を受けて実施します。今後、修理計画がまとまり次第、事業費の概算積算を行い、12月上旬頃には交付申請、平成31年2月の交付決定を経て、工事発注へと進めていく予定です。(詳細は、添付資料 Fig.1_通潤橋壁石垣保存修理工事の見通し 別ウィンドウで開きます(PDF:149.7キロバイト)をご覧下さい。)

     

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応急措置の様子崩落石材の計測状況
写真1 壁石垣崩落防止措置後の様子写真2 崩落石材の計測作業


 

 

2.放水について

 今回の壁石垣の崩落により、3列の通水管のうち最も上流側の側面まで崩落面が到達しています。通水による沈下や漏水が生じた場合、橋の保存に著しい影響を及ぼすため、現時点では万全の体制を図ることは難しく、保存修理工事完了後まで実施しないこととしています。

 通潤橋が有する重要文化財としての価値は、我が国における前近代の土木技術(石造アーチ橋の架橋技術、農業水利技術、城郭石垣の構築技術)が一体となって現在までその姿を留めていること、完成当初から現在まで水路機能が維持されていること(放水は通水していることを端的に示す象徴)、これら二つの事柄が中心となっています。このため、今回の保存修理工事においては、二つの価値を共に担保することが前提となります。

 通水管より下部の橋本体の内部は、建造より現在まで修理履歴がなく、当時の史料しか情報がありません。また、通潤橋には、他の石橋にはない特異な技術が用いられている可能性が高く、非常に難易度の高い工事になると想定されています。文化財修理においては、「何(文化財としての価値)をどう残すのか」という考え方の違いにより、その手段と範囲は大きく異なります。また、「現在の修理方法がその文化財にとって、正解だったのか否かは未来の時代になって初めて評価される」という文化財修理特有の難しさも存在するなかで、価値を損なわずに限りなく正解に近づくためには、相応の検討と議論、修理期間が必要です。

 

 本年12月上旬に予定している文化庁への補助申請の際には、事業期間の終期を定める必要がありますので、その時点で改めて見通しについて皆様へお知らせいたします。

 

 放水の再開を待ち望んでおられる方々には大変心苦しい限りであり、早い放水の再開を目指して全力を尽くす所存ですが、受益者の方々、町民の皆さん、そして我が国の宝である通潤橋を将来へ伝えていくため、ご理解ご協力のほどよろしくお願いいたします。

 

 

崩落面の状況崩落面の状況2

写真3 崩落面の状況(正面)

 通水管直下の敷石が露出している。

写真4 崩落面の状況(南側:白糸台地側より)

 一部が外側へはみ出した状態の敷石の上部に被覆土

 が残っている。

 

 
 

3.壁石垣の石材について

 崩落した壁石垣の石材(崩落範囲についての詳細は、添付資料 Fig.2 壁石垣の崩落範囲 別ウィンドウで開きます(PDF:551.3キロバイト)をご覧下さい。)は、引き上げ後に布田神社前にある国民宿舎 通潤山荘駐車場の一角において、原位置特定作業のための基礎情報として、石材毎に三次元計測を実施しています。

 通潤橋に用いられている石材は、阿蘇溶結凝灰岩のうち「阿蘇-1溶結凝灰岩」と呼ばれるもので、五老ヶ滝沿いの河床や岩場で採石されています。その大部分は立方体の形状で、間知石と呼ばれる表面が方形状の石材とは異なり、内側部分に位置する側も先細りする形ではありません。これらは、多く用いられている溶結凝灰岩と比較して硬質で、通潤橋のような強靭さを要求される構造物に適した性質を有しています。

 現在、写真5のように石材を仮保管していますので、足をお運びいただき、今しか見ることのできない通潤橋の壁石垣の石材をぜひご覧下さい。

 

写真5 石材の仮保管状況

                 写真5 石材の仮保管の状況 


 

 

 

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