(前回より続く)

 

 次に軍人墓地へと向かいました。入佐集落を一望できる高台にあります。普段軍人墓地は,旧町村単位で設けられているように思いますが,ここは入佐のみで軍人墓地を設けています。それだけ,先祖を大事にしているのでしょうね。

 

 軍人墓地を下ると,蛍の養殖場があります。入佐には,蛍にまつわる物語があります。阿蘇(恵良)惟澄は,昼間の戦いで刃こぼれした刀をたくさんの蛍がどこからともなく飛んで来て刃をなおしてくれる夢を見ました。夢から覚めて刀を見ると,刃こぼれした刀が元通り修復されていたと云うのです。以後この刀は,「蛍丸」と名付けられ歴代大宮司の佩刀とされました。

 

 異国の地で大宮司と共に戦い,死んでいった入佐の人々の霊が,蛍となって毎年夏になるとふるさと入佐に帰って来る。ふと,そんな思いに駆られます。

 

 午前中最後の見学先は,入佐神社です。入佐神社は,弘安4年(1281)岩尾城主阿蘇惟景が建立し,御神体は弓矢だと伝えられています。ここには,征清記念碑や日露戦没記念碑,支那事変・大東亜戦争従軍記念碑などが建立されています。

 

 これらの記念碑の前には,首なし地蔵が祀られています。明治になって廃仏毀釈の影響で首を切られた地蔵は多いけど,ここの地蔵もその影響なのかは分かりません。高宮晃裕さんの説明によれば,この地蔵は道路改良により他の所から移されたものらしいのですが,そのときに板状の基礎石があり,それには布をかぶった人物像が描かれていたそうです。高宮さんには,それはまるで幽霊の姿のように見えたそうです。なお,境内には天神さんも祀られていました。

 

 以上で午前の部は終了し,入佐集会所で昼食となりました。

(次回へ続く)

2021年09月24日更新